空中散歩ブログ

そらなか004の思い出の保存庫です

不実

 今月の初めのことなんですけど、横断歩道を渡りながら何気に停車中の車の方を見たところ、なんと運転席に座っていたのは、20年ちょっと前に2万円貸したまま結局踏み倒されてしまった、高校の時の同級生で仲の良かったYだったってことがありました。

 ある時払いの催促なしという条件にしてしまったのが悪かったのか、会ったり、電話で話すたびに、のらりくらりとお金を返せない言い訳を繰り返し聞かされ、そのうちに、家が引っ越したか何かでYとは連絡が取れなくなり、2年くらい後に再会した時には、私からかつて2万円借りたことなどすっかり忘れていた風でした。この件以後、自分の中でYは、もう友達でもなんでもなく、関わりなど一切持ちたくない存在になりました。2万円というお金のことよりも、偏にYの不実さにあきれ返ってのことです。10年位前に1度、その当時で5年ぶりくらいに電話がきた事があり、近くまで来てるから久しぶりに会わないか?みたいなことを言われましたが、丁重にお断りさせていただきました。

 

 今週の初めに少し部屋の中を片付けたとき、押入れの奥の方から古いトートバッグが出てきました。貰い物でしたが、昔の私はトートバッグがあまり好きではなかったので、外出時の持ち歩きには使わず、その大きさを利用して、折り目等を出来ればつけたくない紙製の冊子(パンフレットとかプログラム)を保管しておくのに使っていました。

 中に入っていた、映画やコンサートや展示会のパンフレット、当時務めていた会社関係で参加させてもらった研修会で貰った資料などを手にとって懐かしく眺めていると、その中に、他のものと比べるとずいぶん粗末な、手作り感満載で逆にそれで目立つ、薄い冊子が一冊混じっていました。あれは昭和の末期頃でしたか、当時の飲み仲間だった友人Aに頼まれ、彼が運営に携わっていた小さなイベントのお手伝いをしたことがあったのですが、そのイベントの16頁ほどのプログラムでした。お手伝いというのは主にこのプログラムの編集や製本(頁どおりの順番に紙を重ねて、ホチキスで止める作業)のことです。で、私とAの共通の友人として、途中からこのプログラム作りに携わるようになったのが、先ほどの話に出てきたYです。そもそも私とAとはこのYを通じて知り合ったのでした。で、この時でも、Yはやらかしてくれました。

 親が自営業で自宅にコピー機があるということで、そのプログラムのテキストの頁の印刷をYが買って出たところまでは良かったのです。しかし...あれはイベント当日まで残り数日。イベントスタッフ全員(私達臨時の手伝い2人も含めて7人)が集まって作業できるのはその日が最後という日の事でした。その日に例のプログラムの製本をやることになっていたのですが、集合時間になっても作業場所(スタッフの一人が住んでるマンションの一室)にYは現れません。前述の通り、彼にはプログラムの頁の一部を預けているので、彼が現れないことには製本作業は出来ません。平日の夕方以降のことです。スタッフみんな、時間をどうにかやりくりして集まっています。集合時間から1時間近く経っても、まだ現れず、電話一本も寄越さない彼に、部屋に集まってるスタッフはイライラを募らせるばかり。彼をこの集まりに引き込んだAやYの友人である私は、もう居心地が悪かったことといったらなかったですね。(苦笑)携帯電話が一般的に普及する遥か以前の話ですから、家に電話して連絡がつかなかったら、もうどうにもならないのです。

 Yがようやく作業場であるマンションの一室に現れたのは、集合時間から1時間20分は過ぎてからでした。部屋の玄関に立つYは、預けておいたプログラムの一部が入ったブリーフケースの他に、大量のお菓子やら煙草2、3カートンやらが詰まった紙袋を抱え持っていました。「遅い!何をしよったんや?」「遅くなるんなら電話の一本も寄越せや!」と責め立てる私たちに、「わりぃ(悪い)、わりぃ。時間があったから(そのマンションの最寄の)駅の近くのパチンコ屋で打っとったら、(玉が)出まくってのう。でも、ほれ、景品でお菓子もたくさん貰ってきたし、大勝ちしたけえ、その金でピザ屋で宅配も頼んどいたけえのう、皆で食べようや!!」と、Yは悪びれる様子もなく、満面笑顔で言い放ったのでありました。

 皆、Yに呆れながらも冊子作りはなんとかその日に終わらせることが出来て、その後のイベントも成功しましたが、この件を境に、Yはまあ仕方ありませんが、私までAから距離を置かれる羽目になってしまいました。1歳年上のAでしたが、私は高校の同級生で在学当時仲良くしていたってだけのYよりも、共通の趣味/関心事が幾つもあったAの方が、これから先、友人として上手くやっていけそうな気がしていたんですけどね...

 

 いやぁ、しかし、もうとっくの昔に縁を切ったつもりでいて、顔も思い出したくもない昔の友人の、思い出すだけでムカつく仕打ちを、短期間の内に二つも思い出すきっかけが訪れるなんてねぇ...今月は私にとって、なにやら巡り合わせの悪い月だったのかもしれません。(苦笑)