空中散歩ブログ

そらなか004の思い出の保存庫です

少々苦い思い出と共に胸の奥にある1曲

 

 もう24年前になるけれど、7曲目で取り上げられている曲「All I Want」が目的でキース・ジャレットのアルバム『Mourning of a Star』を毎夜聴いていた時期があった。

 アルバムの中では箸休め的に位置する私は勝手に解釈していたけれど、ここで聴ける「All I Want」は、ジャレットによるリコーダーやコンガの音がオーヴァーダビングされた、ハーモニーが心地よい小品といった感じのキース・ジャレットによるジョニ・ミッチェルの名曲のカヴァー。

 その当時の私は、人生最初の失業を経て再就職活動が上手くいかぬ焦りの中で何とかもぐりこんだのは、私の性分からして最も不向きな職種の会社であった...という状況。あれは焦りの中の決断は大抵ロクな結果を生まないの好例であったな💦 

 「間違ってしまった」「当初言われていた事とやらされてることがあまりに違いすぎる」「試用期間の二週間を全うしたら辞めよう」「明日も憂鬱だなあ...」など様々な思いがあの頃毎夜寝る前に頭の中でグルグル回っていたが、いつも7曲目の「All I Want」がCDプレーヤーから流れてくる頃になると不思議と心が落ち着いてきて、「とりあえずあと〇日頑張ろう!」という気持ちになっていた。

 私は本当に試用期間の二週間でその会社を辞めてしまったので、そんな期間は10日足らずで終わってしまったが、その短い期間のお陰で『Mourning of a Star』で聴けるキース・ジャレット版「All I Want」は忘れられない1曲、忘れられない演奏となってしまった。『Mourning of a Star』というアルバム自体はさほど好きではなかったので、当時所持していたCDを手放して以降買い直したことはないが、収録曲の「All I Want」だけは現在でも年に二、三度くらい聴きたくなることがあって、ネット上で音源を探して聴いている。