空中散歩ブログ

そらなか004の思い出の保存庫です

今でも忘れない若かりし頃の思い出

 平成の初め頃の一時期、遊び仲間/趣味仲間の繋がりで一回り以上年上のお金持ちの男性(以下、Wさんとする)と友達付き合いをしていた。資産家の息子さんな上に、自身もフリーランスな立場で仕事をして高収入を得て、独身貴族を謳歌しているという言葉がふさわしい人であった。しておられる仕事の内容について説明された記憶があるが、何度聞いても私にはよく解らなかった。(笑)

 仲間内で"ラーメンはどこの店が美味しいか"、"水餃子はこの店が美味い"とか盛り上がってた時に、「お前らが驚くくらい美味い店に連れてってやる」と、福岡に行くことを提案。話に乗った私と仲間内の一人の往復の新幹線代を彼が負担してくれて、その足で福岡へ。ラーメン代も水餃子代も博多駅からお店がある町までの往復のタクシー代もWさんの奢り。私も一緒に行った仲間も自分達が食べた分はお金を出そうとしたけれど、Wさんは「お前らに美味いものを知ってもらいたいと、俺が思っただけだから」と、受け取らなかった。

  広島市内某所の高台からWさんの実家の豪邸が見える。お父様が亡くなられたので世帯主はWさん。敷地内の一部が工事中の模様。Wさん曰く「春から大学に入学する親戚の子が下宿するから増築中」→え?わざわざそのために増築?今の家屋だけでも余裕で下宿させられそうな部屋数であろうことは、高台から観ても判るのだが...

 Wさん、数年付き合っていた女性にふられたんだそう。「気晴らしに皆で大騒ぎしたいから、お前らも来いよ!」と私を含む趣味仲間に店を指定して連絡してきた。指定された店は小さく有名でもないけれど趣味の良さげな(料理も本当に美味しかった)エスニック系の創作料理のレストラン。当事者のWさんが全費用持ちで、そこを貸し切ってのWさんの失恋記念パーティーが催されることとなった。(笑)パーティーには私たちの他にもWさんの友人が数人来ていて10人前後いたと思う。

  過去に何度か欧米でのコンサートを経験しているくらいにローリング・ストーンズの大ファンであったWさん。1990年にストーンズが初来日して東京ドームで10日間10公演のコンサートをやることが決定した時、「伝手でスタンド席やアリーナ後方ならどの日でもチケットが手に入る。金がないならチケット代の何割か俺が負担するし、東京滞在費や交通費だって面倒見るから行けそうな日を言え!お前ら、このコンサートだけは観ておいた方がいい」と私達に。私はこの話には乗らず、自分でチケットを買いひとりでストーンズを観に東京に行ったが、仲間内の2人がこの話に乗り、実際に大半の費用をWさん持ちでストーンズと東京滞在を楽しんだという。

 今でも忘れられない程に印象的だったWさんとのエピソードを四点ほど挙げてみたが、最後に挙げたストーンズ初来日時の話が、私にとっての決定打となった。これがきっかけで、この人からは離れた方が良いと思うようになった。彼の金銭感覚や気前の良すぎな所についていけなくて…っていうか、いつしかそれに怖さすら感じるようになっていた。とにかく、「ありがたいことだけれど、この人にここまでしてもらう理由も義理もないんだよなあ」って思うことが、短かった付き合いの中で多すぎた。

 それ以降私は、Wさんとも、疑問を感じる風でもなくWさんから「して貰いっぱなし」な、あの遊び仲間/趣味仲間の内の何人かとも、少しずつ距離を置くようになり、やがて疎遠になった。