空中散歩ブログ

そらなか004の思い出の保存庫です

あれは忘れ物

 もう12年前のことになります。当時働いていた会社で、ちょうど今頃の季節に起こった出来事です。 毎年ではないまでも、夏になるとふと思い出してしまうんです。

 私の居た部署に派遣されてきて私と同じ仕事をやっていくはずだった派遣社員の人が、入ってたったの1週間で自己都合で辞めてしまわれたことがあったのですが、その人が安物(失礼)の皮の表紙の手帳を置き忘れていかれたのです。で、職場の責任者の方が派遣元を通してその人にお知らせしたところ、その人の返答は「いらないから処分していただいて結構です」だったそうです。 

 その手帳は、どう処分するか曖昧なまま、作業場の収納ケースの中に放置されていたのですが、ある日私は、終業後の後片付けの際に、何気にその手帳を開いて、中身を見てしまったのです。

 ちょっとだけですが、驚きました。スケジュール帳のような体のその手帳には、その年の4月から8月の初め頃までにゴールデンタイムで放映されていたテレビ番組のタイトルと放送時間が、ほぼ毎日びっしりと記入されていたんです。ゴールデンタイムだからドラマかバラエティ番組のタイトルが殆どで、バラエティ系の番組の場合は、その週のゲストの名前まで書かれていました。 

 ただそれだけのどうってことのない話なんですけど、不思議と記憶の奥に残ったままになっています。昨日(7日)の昼間、母が住所録やスケジュール帳に使っている皮の表紙の手帳を見て、ふと思い出してしまったんです(笑)果たして、もうとっくの昔に名前を忘れてしまったあの青年、何故にそんな手帳を作業場に持ち込み、置いたままにしていかれたのでしょう?

  ちなみに、あの時の皮の表紙の手帳のその後は、私もわかりません。いつの間にか、作業場の収納ケースの中から消えてなくなっていました。