空中散歩ブログ

そらなか004の思い出の保存庫です

ふと思い出したことと、忘れられない歌

 2000年のことだから、丁度20年前のことになるんだな。それも、ちょうど今頃の季節のことだった。

 とても天気の良い日の午後。当時、失業中で求職中だった私は、出先からの帰りに立ち寄ったコンビニで購入した求人情報誌で、条件、仕事内容ともに、希望していたものに近い製造業の会社を見つけた。コンビニの近くにあった公園の芝生に腰を下ろして、早速その会社の募集欄にあった電話番号に携帯で電話をかけてみた。

 担当者との会話から受ける感触も良くて、こりゃ面接までこじつけられそうだなと思ったのも束の間、担当者から切り出された求人情報誌にはなかった二つの条件がいずれも当時の私には応じられないものであったため、結局こちらの方から応募を取り消す羽目になってしまった。

 その条件とは、もうじき変則的な勤務体制がはじまるのだが、夕方から深夜二時頃までの勤務や深夜から朝方までの勤務は可能か?というのがひとつ。もうひとつは、2年以内に福岡県への転勤の要請がある可能性があるのだが、その場合応じられるか?というもの。前者は自家用車無しのペーパードライバーである私には、公共交通機関が走っていない時間帯に出勤退勤しなくちゃならない所は無理。そこはかなり辺鄙な所にある会社であった。後者は、諸事情で実家からは離れるわけにはいかないので端から無理。

 がっかりした足で、昼食が未だで腹を空かせていた私は、求人情報誌を手に持ったまま近くのチェーン店のカレー屋に入った。注文を終えたタイミングで店内に流れてきた曲は、その前年に大ヒットした椎名林檎さんの1stアルバム『無罪モラトリアム』の収録曲である「丸の内サディスティック」であった。天気の良い昼下がりにピッタリとハマる椎名林檎さんの気だるさが漂う歌声が、椅子に腰かけて注文したカレーを待ちながら手持無沙汰に求人情報誌をパラパラ捲る私の耳に、空しく響いた。