Charles Mingus - Hog Callin' Blues
大昔に読んだ寺山修司のエッセイ(タイトル失念)の中に、ジャズ喫茶で、このチャールズ・ミンガスの「豚が呼んでるブルース」を聴きながら彼女を盗られたことを嘆いている青年が登場する一節があった記憶がある。
実はそのエッセイが、この「豚が呼んでるブルース」が収録されているアルバム『Oh Yeah』のCDを手にすることとなった切欠であった。そのタイトルからして、どんな曲なんだろうと思ってね。私が初めて触れたミンガスの作品。四半世紀は前の、私に最初にジャズのマイ・ブームが起こった頃の話。
『Oh Yeah』でのミンガスは、代名詞のようなぶっといベース・プレイを聴かせてはおらず、全編ピアノとヴォーカルやシャウトを担当している。故にチャールズ・ミンガスなら「まず、これ!」という作品ではなのかもしれないが、私には聴いたことのあるミンガスの作品の中で特に忘れられない1枚だ。