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空中散歩ブログ

そらなかのちょっと長い呟きです。

ジャイアント・ステップスの思い出

ジャイアント・ステップス(+8)

ジャイアント・ステップス(+8)

 

  久々にコルトレーンの『ジャイアント・ステップス+8』を聴く。アナログレコードの時代の話だが、個人的に思い出のある1枚。

 当時私は21歳くらいだったか、思いを寄せていたけどそれを告げる事はついになかった、1歳年上の仲良くさせてもらっている女性がいた。何時の間にか家に住み着いてしまった捨て猫を家に上げて飼うようになったという共通項をきっかけにして会話を交わすようになり、ホントに淡い淡い交遊がはじまったんだったと記憶している。

 ある日その女性とバッタリ道で会った時、彼女はレコード袋を抱えていた。袋の中身はジョン・コルトレーンの代表作のひとつにカウントされることも多い『ジャイアント・ステップス』であった。元々は彼女の友人の持ち物だったのだが、その友人の家に遊びに行った時に聴かせて貰って以来すっかりハマってしまい、遊びに行くたびに『ジャイアント・ステップス』をかけてくれるようリクエストしていたら、そんなに気に入ってるのなら安く譲ってあげるよって話になり、その時はレコードを譲ってもらった帰り道だったらしい。

 「凄くいいんだよ。そらなか君も音楽好きなんだよね?貸してあげようか?」と言われたのだが、なにぶん当時はヘヴィーメタルやハードロックを中心にロック一辺倒だった私。ジャズなどいろはのいも知らない全く未知のジャンル。ジョン・コルトレーンマイルス・デイヴィスも欠片も興味はなかった...っていうより、殆ど知らなかった。「ごめん。今聴きたいレコードが溜まってるからいいや」と、私はあまりにもあっさり話を終わらせてしまった。後々、あの時無理してでもあのレコードを借りてたら、それをきっかけに彼女との距離ももう少しは...なんて後悔することになるのだが、そこに至るまでの話はこの記事に書きたいこととは無関係なので省略。(笑)

 4~5年後、その女性との事など完全に思い出の中の1ページになってしまっていた頃、ようやく私もジャズに関心を寄せるようになった。ちょっとばかし複雑な思いで『ジャイアント・ステップス』のLPレコードも買った。ジャケットはすっかり見覚えていたが中身の音楽を聴くのはその時がはじめて。初聴きで私は圧倒された。"シーツ・オブ・サウンド"と呼ばれているコルトレーン特有のソロプレイは当時の私にはたまらなく刺激的だった。ジャズ云々っていうよりとてつもなくカッコイイ音楽に出会えたって思いであった。かつての"後悔"とはまた違った意味で、あの時彼女から『ジャイアント・ステップス』を借りなかったことをその時に後悔した。こんな素敵でカッコイイ音楽との出会いを数年遅らせることになったのだから。