空中散歩ブログ

そらなか004の思い出の保存庫です

懐かしき道を辿りながら

 先週にこんな記事を書いたけど、今度は小学1年の夏に引っ越してきて、現在も我が一家が住んでいる東広島市西条町内の、今となっては足を踏み入れることもなくなった場所を、Google Earthストリートビューを使って歩いてみました。

 小学校から中学にかけて、たまたまそのあたりに友人宅が集中していたので何度も訪れたけれど、経年の内にそのあたりに出向く用もなくなった上、あのあたり一体の再開発や隣接する街へ抜ける道路の建設などで、完全に私の地元での行動範囲から分断された形になってしまった場所。パソコンのモニター越しとはいえ、その辺りの風景を見るのは20年近くぶりじゃなかったかな。

 あの記事にあるかつて我が一家が暮らしていた街のケースとは違って、まだまだ田園風景も昔ながらの木造住宅も健在なわが町だけに、自分の知ってる街とは違う全く別の街になってしまったというような感想を抱くこともなく、かつて田んぼだった一帯が整地されて住宅が建ち並んでいたり、市営住宅が立派なものに建て替わっているのを見て、私の子供時分からの町一番の住宅密集地帯の健在と更なる発展ぶりを窺い知ったり、車がすれ違うのがやっとくらいの広さだった道路が二車線歩道付きの大きな広い道路に変わっているのをみて、そのあおりで何処かへ立ち退いたと思われる、その付近にあった中学時代によく遊びに言っていた友人宅数軒のことを思い出したりなど、しばしの郷愁タイムを楽しみました。

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 特に懐かしく思ったのは、コミック版ドラえもんに出てくるスネ夫の家に雰囲気がよく似ていることから、小学生時分に友人達と勝手に「スネ夫の家」と呼んでいた、当時ではまだ珍しかった鉄筋コンクリート二階建てのルーフバルコニー付きの大きな家ですね。今では庭の広さや建屋の大きさならほぼ同規模の家も周辺に数軒建って、そんなに目立つ感じではなくなっていたけど、ルーフバルコニー付きの白壁の家は、あの場所で独特の存在感を放っていました。

 小学5年の時でしたか、その「スネ夫の家」の子で私より1学年下だった男の子とひょんなことから仲良くなりました。とは言っても、キャッチボールの仲間に入れてあげたり、カブトムシやクワガタムシを採りにいく仲間に入れたあげたことが何度かある程度でしたが...

 私と当時一番仲が良かったクラスメートのYが、その子(Aとします)にかなり強引に誘われるまま、一度だけ「スネ夫の家」にお邪魔したことがありました。いやはや驚きましたねぇ。昼の1時過ぎにお邪魔してその家に居たのは3時間半くらいでしたが、Aの母親がおやつを出してくれる出してくれる!値段がお高いことで知られていたある中華料理屋から取り寄せた(と思われる)ハルマキとアイスティのセットを皮切りに、母親お手製のケーキとこれまた値段が高そうなアイスクリーム、彼の部屋のテーブルの上には好きなだけ食べたり飲んだりしていいよと言わんばかりに、大皿に盛られた和洋入り混じったお菓子群と瓶入りのジュース数本... 

 帰り際には、仕事で海外へ行くことも多いというAの父親と祖父がおみやげに買ってきたという、今で言うならヴィレッジヴァンガードあたりで売ってそうな、ポップでアメリカンな雑貨類が未開封なまま箱にいっぱい入っているのを見せられて、「欲しいのがあったらあげるよ」と言われました。

 私も一緒にお邪魔したYも、Aに誘われるままにお邪魔しただけなのに、予想外のもてなされようにかなりビビっていたのでしょう。「あ、それはまた今度!お邪魔しましたぁ~ ありがとうございましたぁ~」と、逃げるように「スネ夫の家」の玄関を二人して飛び出したのを憶えています。Yと「あの家にはもう行かないほうがいいよね」と言い合ったことも。

 小学5年ともなれば、分別も道理も遠慮も子供なりに判ってくる頃ですからね。この家からこんな過剰なもてなされ方をされる謂れは私達にはなかったし、こんなことが親に知られたら、色んな意味でただじゃ済みそうもないし、第一、仮にAが我々の家に遊びに来たとしても同等のもてなし方など出来ないのは、私もYもわかってるし...

 自転車で二人並んで「今日のことは誰にも秘密な!」と約束して家路を急いだ道をGoogle Earthストリートビューで辿りながら、当時のことを懐かしく思い出した今日の昼下がりでした。