空中逍遥ブログ

そらなかのちょっと長い呟きです。

ちりとてちん外伝 まいご3兄弟

 この3月まで放送されていた連続テレビ小説ごちそうさん」(NHK総合)と並行するようにNHKオンデマンドの方でアーカイヴを視聴していた2007年度の連続テレビ小説ちりとてちん」。そのスピンオフ作品で、本放送終了後の2008年夏に放送された「ちりとてちん外伝 まいご3兄弟」を、やはりNHKオンデマンドで昨日6月1日にようやく視聴しました。

 ちょうど「ちりとてちん」本放送の17週目辺りの頃のお話でしょうかね?ま、それはさておき...

 あたりがすっかり暗くなった時間に道に迷った上にガス欠が重なり、草原、小草若、四草を乗せた車は、福井県の小浜と大阪の中間地点である滋賀県安曇川町なるところで立ち往生してしまいます。そんな3人を親切にも一晩泊めてくれた町はずれの一軒家の中のみでドラマは進行していきます。

 一軒家の主は、納品日が近いのか今夜は夜なべ仕事だという、少々神経質そうな扇骨(せんこつ)職人・萬事九郎(ばんじ・くろう)さんとその奥さんのちえ子さん。この家は扇子の骨を作る職人さんの自宅兼仕事場だったのです。で、徒然亭3兄弟、この家に泊めてもらっただけでなく、地酒(と琵琶湖特産の鮒鮨)をご馳走になってしまうのですが、酒の作用もあって、つい何度も大騒ぎをしてしまい、夜なべ仕事中の萬事九郎さんをイラつかせてしまいます。その度に3人をたしなめに部屋にやって来るちえ子さん。3人はその度に謝り一旦は静かにしようとするのですが、飲みながら話してるとつい声も大きくなり、結局ドタバタ騒ぎの繰り返し...

 どこかで見覚え...っていうか聞き覚えのある展開だなと思ったら、そう!これ落語の「宿屋の仇打」でしたわ!!「宿屋の仇討」は東京の噺家さんが演るときの演目名で、「ちりとてちん」の舞台である上方落語界では「宿屋仇(やどやがたき)」というみたいです。元々上方の噺のようですな。→ 宿屋仇(やどやがたき)Wikipedia

 扇骨職人の萬事九郎は宿屋に泊まった侍「万事世話九郎(ばんじ・せわくろう)」のパロディだし、宿屋の手代の伊八(いはち)の役回りが奥さんのちえ子さん。で、万事世話九郎の隣の部屋の宿泊客で、大騒ぎして世話九郎の安眠を妨害してしまう伊勢参り帰りの3人組「喜六・清八・源兵衛」が徒然亭3兄弟の「草原・小草若・四草」でしょう。で、この噺の根幹を成す大騒動の発端となる法螺話をする源兵衛さんが四草ですね!

 「ちりとてちん」というドラマは有名な上方落語の演目をモチーフにしたストーリー展開がたびたび成されていたドラマでしたが、このスピンオフ作品では、正に現代版「宿屋仇」をやっちゃったワケですねぇ。

 徒然亭一門の噺家の中で、何かと謎の部分の多かった四草。このスピンオフ作品「まいご3兄弟」では、彼を主役に据えて、ドラマ本編ではほんのさわりしか伝えられなかった彼の生い立ちや両親のことがいよいよ明かされる...と思いきやの「宿屋仇」的ストーリー展開。 いやはや、参りました。こう来るとはね!唸らされました。本放送同様、笑いと涙の43分間でした。ただの回想話ではなく、草原・小草若・四草の3人からこの時の話を聞いた草々&若狭(喜代美)夫妻共作の新作落語として、草々が「ひぐらし亭」の高座にかけているという演出にしちゃってるところなども、実に心憎い。