空中逍遥ブログ

そらなかのちょっと長い呟きです。

道灌

 現在、BSでの再放送やNHKオンデマンド配信などで私が楽しんでいるNHK連続テレビ小説ちりとてちん」は、上方の落語界のお話です。

 コンプレックスの塊な自分を変えたい、いつも楽しくて笑っていられるような自分でいたいと福井から大阪にやってきた少女・喜代美が、ふとしたことから、今は落ちぶれて酒びたりの上方落語界の名人のひとりである噺家、徒然亭草若とその一門とかかわりをもつようになり、彼等の生き方や落語そのものに感銘を受け、やがて自分も落語界に...

 そんな「ちりとてちん」を観てるうちに、かつて、当時やっていたブログに、落語について書いたことがあったことを思い出しました。昔、江戸落語にハマっていたことがあったっていう記事。(ちなみに、上方落語の方は、それほど親しんできてません。)先ほど探し出してきたので、若干の改訂や加筆をして、ここに転載させていただきます。

 

 七重八重  花は咲けども山吹の  実のひとつだになきぞ悲しき 

   のちに江戸城を建てたことで知られるようになる大田道灌(おおたどうかん)という武将、狩りの途中、にわか雨に遭い、近くにあった一軒のみすぼらしい家で雨具を借りようとしたが、その家の娘は黙って山吹の花を道灌に差し出すだけ。 

  道灌、この娘の行為に何の意味があるのかさっぱりわからず、ずぶぬれになって帰宅。家来にこの話をした。 

 「殿、それはこういうことでございましょう」 

  家来、冒頭の和歌を、道灌に詠んで聞かせる 

 「つまり、我が家はあまりにも貧しくて蓑(みの)ひとつさえ無いのでございます。と言いたいのを、この和歌の“実の(蓑)ひとつだになきぞ悲しき”というのに掛けたのでございましょう」 

  道灌、この娘にいたく感じ入ったと同時に、古歌に無知であった自分を恥じ、以後、和歌の修練に励むようになった 。 

 

 この大田道灌の逸話(史実ではない)を基にした、そのものずばりの「道灌」という落語があるんです。このエピソードにえらく感銘を受けた「八つぁん」が、自分もこの娘の真似をして誰かが笠(傘)を借りに着たらやろうと、山吹の花を用意して、誰かが雨具を借りに来るのを待つって噺。私は「三代目・三遊亭金馬」のこの噺が大好きでした。 

 もう20年以上前になりますが、熱病にでも罹ったかの如く「江戸落語」にハマってた時期がありました。ちょっとしたきっかけで、五代目・古今亭志ん生という人に興味を持つようになり、彼の落語のカセットテープを買ったのが始まり。志ん生によって、話芸の凄さ、楽しさ、奥深さを知った私は、以後圓生文楽、金馬などさまざまな昭和の名人達のテープを買い漁り、貪る様に愛用のラジカセで聴きまくるようになったのでした。その頃は、好きなロックやブルース、R&BなどのCDを買うより落語のカセットテープ購入を優先させていたくらいでしたね。 

 落語に対する熱は、もうずいぶん昔に冷めてしまっていますが、当時入手した膨大な数のカセットテープ群は、後世に伝えるべき文化遺産として、今でも私の部屋のキャビネットの奥に収納されています。マジでこれどうしよう?(笑)